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稽古場の床に汗ジミが(笑)

いつも定例の稽古は私の家でしている。
立派な稽古場ではなく、ふつうの住宅の一室でささやかな場所だけど。
(ちゃんとした稽古場が欲しいけど、高望みしてもしかたない)
稽古できる空間があるだけ幸せ。

先日、その稽古場の床にシミがたくさんあることに気がついた。
化粧合板のフローリングではなく、無垢材なのでシミが出来やすいのだ。
何か食べ物をこぼしたのかとも思ったけど、どうも違う。
あれっ、これは稽古のときに生徒さんが流した汗ジミだ !
床稽古のとき、顔が床にべったりくっついたりするし、
それ以外にも汗をかいたりするので、それが床に染み込んだのだ。
なんだか笑ってしまった。
ほほえましいと言うか、少し嬉しい気持。

このシミは、同じ汗でもかなり油っぽいものだな。
男の人の脂汗か、女性のファンデーション系のものだろう。
このささやかな稽古場にも、稽古を重ねていくうちに、こうして痕跡ができていく。

私は稽古場という「場」を育てるのが夢だった。
ただ体を動かして、体をうまく使えるようになるだけが稽古じゃない。
場所自体が育つのだ。
汗も染み込むし、ひとりひとりの思いが、床や壁に染み込み、空間が育つ。
部屋の隅々まで思いや「気」が浸透していく。
稽古を通して、人から大切なものが生起しつづけ、
やがては場所が育って、その場所が人に力を与えてくれるようになる。
踊りをする者にとって、稽古場はとくべつな場所、聖なる領域だ。

伝統系の人たちには、そういう場所が最初から与えられていることが多いが、
私たちは自分でゼロから育てなくてはならない。
場所がほしい場所が欲しいと思い続けてきた。
身体と踊りは場所と一体だからだ。
人間が力技で、ゼロからすべてを立ち上げる、
それは想像を絶する困難な行為なのだ。もう私は疲れたんだ。

 ・・・ でもこの汗ジミを見て、少し元気が出たのさ。

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Author: 最上 和子
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